SSブログ

霜の降りた朝 [あれこれ]

 今朝、コーヒーに入れる牛乳が切れていたので、近所のコンビニまで買いに行きました。
 丁度、小学生の登校時間とぶつかり、歩道は子供達の無邪気で明るいおしゃべりであふれていました。

 私がコンビニから出ると、小学校とは真逆の方向へ向かう六人の男の子達がいて、信号待ちで一緒になりました。
 たぶん、三年生か四年生か…それくらいの男の子達。
「忘れ物でもしたのかな?」と、私はその子達を見て一瞬思ったのですが、その子達の会話から察すると、どうやら逆戻りの理由は『忘れ物』ではないらしいのです。

「え〜、なになに、どこで見たの?」
「この先!」
「おれもさっき、別の場所で見たよ!」
「まだあるかなあ」

なんて、仲間のだれかが見つけた『なにか』をみんなで見に行くようなことを言っているのです。

「え〜…、一体なにを見つけたのぉ?」と、ひそかに私も気になってしまい、信号が青になり駆け出した男の子達を目で追ってしまいました。

 するとその子達は間もなく、街路樹の下の植え込みにしゃがみ込んで、しきりに地面にある『なにか』を触り出したのでした。

 そして、

「ほら、ここここ!」
「よかった! まだあった!」
「うわあ、これ、なんだろう?」
「おもしろ〜い!」
「見て! あっちにもまだあるよ」
「これ、雪だよ。絶対雪だと思う!」

と、ちょっと白熱気味な様子。

「え? 雪ぃ?」
 私は思わず辺りを見回してしまいました。
 でも、雪が降った形跡なんてどこにも見当たらず…、???

 男の子達は身体をぴったり寄せ合ってしゃがみ込んでいたので、その手元がよく見えず、私ははじめ、珍しい虫か小鳥の死骸でも見つけたのかと思っていました。
 でも、『雪』という言葉を聞いて、よくよく彼らの手元を見てみると、彼らは白い霜のついた落ち葉に触れていたのでした。
 白い霜に暖かい指で触れると、たちまち溶けてなくなる様子が面白いらしく、男の子達は霜の降りた地面に冷たさも気にせず、一生懸命、素手で触れていたのです。

 その様子を見て、「あ〜、私も同じことやってたなあ」と、懐かしい気持ちと一緒に、世代は変わっても子供達の感性が変わらないことに、なんだか感激してしまったのでした。
 
 雪国育ちの方達はみんな、私が今朝出逢った男の子達のような体験を、きっとどこかで味わっているはず…。
 
 霜や薄氷の張った地面をシャリシャリいわせて歩く感触だとか、雪が降る前の空気の匂いだとか、しばれた朝の窓に咲く見事な氷の花だとか、繊細ではかない雪の結晶だとか……。
 
 寒く辛く感じることも多い冬ですけれど、ちょっと目線を変えると、たくさんの冬からの贈り物があることに気付きます。

 霜とたわむれてる男の子達に、「それはね、雪じゃなくて霜っていうんだよ」と教えてあげようか迷ったんですけれど、自分達でその間違いに気付くのも面白いかなとも思い、私はそっとその場を去りました。

 さて、今年の初雪はいつかな?
 きっとあの男の子達、初雪の日も大騒ぎするんでしょうね。(*^v^*)
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
新米の季節 ♪気がつけば…! ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。